コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] carmen.カルメン(2003/スペイン=英=伊)

ちょっと前に、ファニー・アルダン演じるカルメンの劇中歌劇を『永遠のマリアカラス』で見てしまい、その華やかさと存在感に圧倒されたから、ちょっと抑え目のカルメンに戸惑ってしまったが、パス・ヴェガは魅惑的でした。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作はどちらかというと、カルメンに惑わされたホセの目線で描かれているから、前記の『永遠のマリアカラス』のような「カルメン大乱舞」としてではなく、ホセにとって「聖母」であり、「悪魔」であり、人生を狂わす奔放な女として彼女は登場する。

百戦錬磨の大輪のバラ・悪女カルメンと、ウブで一途な兵士ホセ。始めから終わりまで、ホセはほとんど嫉妬しっぱなし。男たちを手玉に取る女と、いつまでも自分だけのものになってくれない女に揺さぶられる男。ホセの「愛」よりも男としての「独占欲」を感じる結末。

バス・ヴェガは美しく、野性的で、激しい「永遠のファム・ファタール」を体現していたと思う。『トーク・トゥ・ハー』で見た時よりも、「女」として、より艶やかに、そして誰もが夢中になるような「いとおしさ」が感じられた。欲を言えば、「マリアカラス版」ほどでなくてもいいから、「カルメン・オンステージ」を一シーンでもいいから堪能したかったのと、「強さ」ばかりでなく「弱み」も見せてほしかった。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ミルテ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。