今回、スタローンは「攻める人」ではなく、「守る人」に徹している。大事なひとに襲い掛かる魔の手を、熱く闘う！ではなく、クールにさらりとかわす。それでいて、ユーモアと笑いにあふれ、「コメディ？」と思うほど。ちょっとこんな、おちゃめなスタローンは見たことがなかったから、映画自体が新鮮に見えた。

ちょっと、敵が「バカ」なので物足りないといえなくもない。最後の対決も、ここぐらいは大勝負になっても良かったかも。でも殺し屋の死体を飄々とシートにくるんで、海にポイと捨てるスタローンがツボで、面白かった。

ちょっとマデリーンは、歳食いすぎ（45歳）。もう少し若い女優さんでもよかったかも。でも「不安定さ」と、スタローンとの掛け合いは、見ていて楽しい。

名優アンソニー・クインにとって、遺作となったそうで（『道』は強烈でした）、ご冥福をお祈りいたします。