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[コメント] オフィシャル・シークレット(2018/英)

こういう映画を見ると、英国も、米国も、自国の「罪」「嘘」「恥」に立ち向かう、確固たる「正義」が「映画の中」にあるなぁ、と思う。そういうのが強すぎる時もあるが、「全くない」我が国の現状を思うと、うらやましい。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







イラク戦争を強行するために、諜報機関に命じられた指令。その内容に憤った「主人公女性」の、勇気あるリーク。そしてその情報を、慎重にウラを取った上で告発記事を書いた「ジャーナリストたち」。そして登場する「人権派弁護士」の奮闘。その3面構成で物語は進む。

俳優陣は豪華だ。そして実名で登場し、ニュース映像も混ぜながら、きめ細かく調べた事実を基に、映画は完成した。この「Based on true story」物は、どれもそれなりのクオリティがあり、特に政治ものは「覚悟」も必要だ。

もう「結果」が出ていることだが、結局は「開戦」し、「大量破壊兵器は見つからなかった」。何のための戦争だったか?そんな誰も得しない(いや誰かが得してる?)戦争だったと判っていることだから、創ることができた、そして見ることができた映画かもしれません。

主人公キャサリンを演じたキーラ・ナイトレイは、さすがです。信念を持った女性を熱演していました。「私は政府に仕えているのではなく、国民に仕えている」は名ゼリフです。彼女自身が広島で英語教師をしていたとか、夫がクルド人っていうのも興味深い事実だが、「だから」という訳では全くなく、あくまでも彼女の中の正義からくる行動だったというのも、実在のキャサリンには脱帽です。

弁護士を演じるレイフ・ファインズは、ちょっとカッコよすぎかも。でも、検事を演じたジェレミー・ノーザムとのやり取りは面白かった。

こういうジャーナリズムとか、裁判ものとか、そういうものは「ハリウッド」の得意分野だと思うのだが、この映画は「社会派サスペンス」だったのに対し、ハリウッドが作ると『ブッシュ』や『バイス』のような、政治家を主人公に据えて、造形も「そっくり」にして、そしてコメディ?のような作りになってしまうところが、興味深い。

そして、わが国では、こういう映画はまず無理。実名で登場なんて、もってのほか。

(評価:★4)

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