※オリジナルに対する言及が多分にあります。

｢現代に置き換えたらこうなりました｣的な、ハイテク全面に押し出した舞台の作り込み。それはそれでごもっともなんですけど、その背景に対する主人公の偏執的な拘りみたいなものはさほど伝わるワケでもなく、ただ無機質な冷たさが伝わってくるのみ、な気が。比較しちゃいけないけもしれないけど、オリジナルではゲームマニアという筋金入りの拘りが背景からビシバシ伝わってきていたわけで。ゆえに、毒を多分に仕込んだ丁々発止のやり取りを観てても、粋みたいなものがそこには存在していた、と思うのです。

それはともかく、互いが互いを弄び攻守が目まぐるしく入れ替わりつつも、実は目に見えない何かの手のひらで2人共々弄ばれてるだけなんじゃないか、とかすかに感じさせるような、どこか巨視的な視線がオリジナルには存在してたと思うのです(冒頭の巨大な迷路に象徴されるような)。この映画では、(多分あえてだと思うけど)そういった要素をとっぱらったことで、ゲーム感覚のミステリーというよりは、２人の心理の襞によりスポットが当てられて、何やら異色の葛藤劇を見ている気になりました。オリジナル以上に舞台劇っぽい。これはこれでブラナーらしくて、面白かったですけど。

ただ、個人的な本音を言わせていただくと、オリジナルのあの魅力的な背景を彩るゲームの数々に今回再会できなかったことで、何だか大切な登場人物が一人いなくなってしまったような、そんな淋しさを禁じえませんでした。