「おお、コレはアルトマン流『ゲームの規則』か！」････と前半で過剰な期待を寄せた自分がいけなかったんです。多分。

とにかく隅々まで神経の行き渡った見事な手際の傍観者になって、そこかしこに盛られたスパイスを味わえば、それで十分楽しい作品なんだと思います。ただ個人的には「うまく纏め上げたなぁ」以上の感興は湧きませんでしたけど。これだけ登場人物が多いと、どうしても興味も分散してしまうのかな。映画の中にのめり込むまでには至らなかったせいか、後々まで余韻が残るエピソードというのが少なかった気がします。

せめてウィリアム卿の死の前と後でガラッとトーンを変える位のことをしてくれても良かったのではないかなぁ、と思ったり。各々が化けの皮を剥がされたり取り乱したりしつつも、結局ブルジョアの面々は何事もなかったかのように体裁を整え、それぞれの生活に戻っていく････。そんな展開のコントラストを期待してたのですが、イマイチ起伏がなく相変わらずの調子で進んでいくので、ウィリアム卿の死が全てのきっかけで分岐点であるという実感が薄いというか。もう少しそういったメリハリが欲しかったです。まあこれも勝手な希望ですけど。

それと見落としかもしれないんですけど、狩のシーンでの事故の真相が上手く読みとれませんでした。あの何をやっても裏目に出てしまう男の仕業かな････？[3.5点]

(2003/8/23)