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[コメント] ストーン(2010/米)

名優ロバート・デ・ニーロに今や脂の乗り切ったエドワード・ノートン、そして初めて演技派としての修業をミラ・ジョヴォヴィッチに課したトライアングル心理劇です。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







デ・ニーロの演技力は今や言うまでもない。だが、若い時に無理に20キロ近く太らせた身体は今や自然の老体ぶりだ。この映画ではうまいが、彼の貪欲な演技力への追及といった新鮮味は感じなかった。

対してノートンは狂気と神秘性を明瞭に演じて、役者冥利に尽きる役柄ではなかっただろうか。俳優としての到達点にまで達しているとは言える。

彼らに絡む難役のジョヴォヴィッチも、なかなかファーストシーンの登場から画面を圧倒させる雰囲気を持っており、夫のために管理官を誘惑していくうちに本気になって行く女性心理を巧妙に演じており、まずは演技派として合格と言ったところか。

こう3人を比較していくと、デ・ニーロが一番目立たず驚いてしまうが、あっさりと女の誘惑に負けてしまうなど平凡な役柄だけに仕方ないところか。ノートンもうまくなり過ぎ、ショーン・ペンの方へは行かないでほしいと思う。

アメリカでも夫婦間の無言劇は日常茶飯事らしく、(日本ではともかく、アメリカでこういう夫婦生活は即離婚ものではないか、と思っていたが)40年近くもそういう夫婦生活が存在するというのが、実は僕がこの映画で一番驚いたところなのだ。でもさすが、夫は妻に家を放火され、結局は離婚の憂き身を見ることになるのだが、、。

ストーンという名には実は聖書上の人間存在の意味があるらしいと映画では説いている。この映画は悪人が聖人に、一般人(聖人らしき公務員)が悪人に、ふとしたことで変貌する様子を描いたものだが、その媒体は一冊の宗教書であったり、一個の女体であったりするわけだ。

この辺りが図式過ぎてアメリカナイズし過ぎている感じは否めないが、まあ啓蒙的な思索がなくもない。でも、やはりこの映画の焦点は3人の演技を見るということに尽きるのだろうなあ、、。

(評価:★4)

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