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[コメント] ハーモニー 心をつなぐ歌(2010/韓国)

刑務所で暮らす女性たち。殺人を犯してしまった人、詐欺を働いた人など様々だ。世間からは忌み嫌われている人たちも人の親であり、人の子でもある。そんな暗黒の生活にも一筋の灯りを見出そうとするほのぼのとする話である。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







でもこういう映画って、ある程度話の内容が推察されるんだよね。そして感動話に盛り上げられていくのを観客たちも実は期待しているわけ。ちょっとそういう過程が気恥ずかしくもあり、厭なんだけれど、この映画は良くも悪くも見事にそれを実践してくれる。

同室の5人の犯罪歴も映像でさらりと説明するが、少々ベタ。あれだけで彼女たちの人生を説明しているとはとても思えない。彼女らのそれはほとんどエピソードと変わらない。

だからこそ、ラストに向かい彼女たちが家族への邂逅を待ち望み、そしてその邂逅を至福の笑みに満たすには一人一人の掘り下げが浅く、あのコーラスで感動をもたらすものではなかった。(本来なら、テーマから彼女たちの歌っている時に深い感動が生まれるものなのではあるまいか)

だからというわけではないが、この映画では彼女たちの起こした犯罪に対して、彼女たちに罪の意識への葛藤めいたものがほとんど見られない。刑務所はただ彼女たちを押し込めて時間の長さが囚人への罰となるものでもないだろう。死刑囚たる指揮者も、夫を殺害した主人公も、自分のしたことを深く考え、それに沿った更生をしているとは思われないのだ。

自分のしたことを棚に上げて、それぞれの家族に会いたいとこの映画の登場人物は思うわけである。映画だからとか、娯楽作品なんだからそんな堅いことは言うな、と言われそうだが、その部分をきっちりと描いていないから、ラストの死刑の挿話もちょっと浮き気味になっていたような気がする。死刑制度はこんな程度のもので議論されてはいけないのだ、と思う。

と、結構気難しくコメントを書いていますが、それでも彼女たちが歌い終わった後、暗闇の中から天使のような幼児たちが現れ、彼女たちの手をつなぎ始めたシーンは静かに涙が流れました。映画的やらせとは言いつつ、やられました。そして、自分の息子の成長写真をプレゼントしてもらったシーンにも。

でも、息子が大きくなった時、彼女の存在が新たな悲劇もまた生まれることになるのでしょう。映画ではその辺りの予兆には全く触れられることなく、終わりましたが、、。

(評価:★3)

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