[コメント] フェノミナン(1996/米)
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再鑑賞することにした。採点は既に★5をつけていたのだが、昔一度観たきりで半分以上内容を忘れていたので。まあ、初めて観た時は若かったし、どうせクラプトンの曲にヤラれた勢いで高評価したお決まりのパターンなんだろうな、と正直思っていた。もう一回観たら、アラが気になりまくり『グーニーズ』を再鑑賞して軽く後悔するみたいなお決まりのパターンになるんだろうな、とも正直思っていた。で、DVDで再鑑賞。
何だコレは・・・、大傑作ではないか! 「"Change The World"が良いだけの泣かせ映画」的イメージに一瞬でも引きずり込まれそうになっていた自分が恥ずかしい。「泣かせにきてるなあ」どころか、むしろ「抑えてるなあ」という印象を強く受けた。
安定した無駄の無い撮影。例えば「自然」関連のショットにタルコフスキーほどの「ヤバい感じ」が出ていないではないか、という指摘も出来るかもしれない。だが、タルコフスキーのそれは諸刃の剣のようなもの。映画から独立し、映画を壊す可能性を孕んだものであり、そういう意味で『フェノミナン』の「自然」から「ヤバい感じ」がそんなに出ていなくて良かった、と個人的には思っている。これは、ウルトラミラクルスリラーではないのだから。
繊細かつ大胆な脚本・演出。記憶していたより、「抑える」ところと「遊ぶ」ところのメリハリが効いていた。挿入歌などもいくつか存在するのだが、タイミングや音量調節も狡猾なぐらい練られている印象を持ったし、音楽を鳴らすべきではないところではちゃんと自重していて、こんなにちゃんと作ってある映画だったっけ? と自分の記憶力の悪さにウンザリした。
「愛すまいと思ったわ」「成功?」「大失敗」・・・ここの主演二人の演技の完璧っぷりを見よ! 身体は大人で頭は天才になってしまったが心は子供なトラヴォルタ(セジウィックがベッドに座る際の「足の動き」に注目!)、トラヴォルタの「成功?」に食い気味で「大失敗」と返すセジウィック。どちらも神懸かっていた。
トラヴォルタが最初に「光」を目撃する直前、彼は空に向かって乾杯する。「37歳だ・・・、37歳」・・・ここも地味に好きなシーンだ。結婚もしていなけりゃ子供もいない・・・、大したことも出来ないまま、いつの間にか人生半分終わりかけてる的哀愁を、ロング・ショットと数字を言うだけ(英語で"Thirty-seven"を二回言うだけ)のセリフで微かに滲ませ、素晴らしい。
ウィテカーの「ポルトガル語」や、息子同然の男に対する陰口にブチギレるデュヴァルなどの、ウルトラミラクルサイドストーリーももちろん忘れてはならない。
あと、クラプトンはやっぱり良かった。
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