[コメント] 北京好日(1993/中国=香港)
冒頭の北京市内の移動撮影からタダモノじゃないと感じてしまう。撮影→ビットリオ・ストラーロ、と言われたら信じてしまうだろう。若い女性監督ながら、男性の老人集団を題材に選ぶ発想に驚く。しかも成功している。
赤と青の色彩の使い分け、緩慢なカメラの移動、思いきりのいいカッティング。特に寒風吹く屋外から黄色い明かりが漏れる窓をカメラが近づくと中でダンスをしている人々が写るシーンはモロベルドルッチ! もちろんモノマネではない。しっかり自分のものにしているのだ。老人たちは徹底して普通の人たちで、あたかも現実のドキュメントを観ているように感じるが、それでいて各人の個性がクッキリと浮かび上がっていく演出は見事。個性というよりは、人々の喜怒哀楽の感情そのものが、そのままフィルムに定着してしまったかのような生々しさ。それぞれに愛すべきキャラクターの持ち主たちが最終バトル(?)で大爆発する過程は圧巻である。
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