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[コメント] ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学(2009/米)

娯楽映画の底力を観る。オリジナルの陰鬱さには欠けるものの、人間の極限性を具現化している点ではそれを遥かに凌ぐ。凌辱的な導入部に胸は苦しいが、映画として味わえるポテンシャルを保つし、双方が限界点に達する攻防は非常にリズミカル
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







以下、72年版のオリジナルのネタバレに触れます。

絶対に超えてはいけない一線をギリギリのところで超えない。これがこの映画における重要なポイント。

大元のベースとなっているベルイマンの「処女の泉」なのだが私は未見。近いうちに鑑賞してみようとは思う。ところで、72年のオリジナルでは少女は射殺されるという残酷極まりない展開。その後、両親による復讐劇が繰り広げられるのだが。少女の生死(しかも処女をレイプによって奪われた後である)こそ、超えてはいけない一線なんだと思う。

超えるのが悪いのではない。超えることによって作品のイメージは大きく変化する(オリジナルは傑作だと思うし、何とも言葉にできない後味は特筆モノ)。少女が絶命しなかったことによって、この映画にはエンターテイメントのモチベーションで楽しめる要素が備え付けられたといっていい。いかにも現代的な復讐劇の枠に収まった…とも言えるし、2時間の長尺を全く感じさせないスリラー/ホラーを“楽しめる”のだ。

(評価:★5)

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