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[コメント] レンブラントへの贈り物(1999/仏=独=オランダ)

レンブラントの生命線であるレンブラントライトと、大胆だけど繊細さが深く美しい黒を作品全体に活用し、レンブラントの名誉を傷つけまいとした絵作りはストーリー構成とともに非の打ち所がない。そして同時に時代考証の緻密さを堪能できる逸品、名画。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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2002年11月3日〜2003年1月13日に京都国立博物館で催された大レンブラント展で拝めた絵が登場したので不思議と非常に親しみをもて、作り手のレンブラントに関しての認識と芸術の本質の徹底した理解があればこその作品であったので大変勉強になった。

上記で書いたように、非常に優れたライティングと黒のシャープさは『バリー・リンドン』でキューブリックが目指した地点と比較しても、全然引けを取らない。衣装の完成度の高さも、名だたる衣装が素晴らしい映画に対しても対等に渡り合えるレベルを維持し続けるだろう。

ただ、絵作りを励むほどに内容がレンブラントの幻影に縛られているようにも思える。しかし、それはレンブラントの絵の持つパワーが巨大すぎるからだと感じるので仕方がないのかもしれない。

最後に出た「何度も生まれ変わらなければこんな絵は描けない」とゴッホの一文が引用されているのは、レンブラントの絵画を超える事が出来なかった言い訳ではなく、レンブラントを称えた素晴らしい不朽の言葉を引用したにすぎないのだろう。

賛辞の言葉さえレンブラントに追いつかないのだから。

2003/4/18

(評価:★4)

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