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[コメント] 弾丸ランナー(1996/日)

SABU監督が、いかに「海外から引っ張りダコ」だというのかを立証している分かりやすいモニュメント。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







走る理由が各自の心に強固に居座っていたので走れたって感じで、偶然ではなくて必然で、絶対に怒るべくして起きたマラソン大会に自主的に参加した3人の男達のサバイバルレースであり、画期的な健全な人生の精算レース!いかに自分の人生という体に潜んでいる、皮下脂肪&内臓脂肪をそぎ落とすかに焦点が絞られていて、非常に見やすかった。しかし親切丁寧であるものの、走る行為に隠されたテーマが多く、ちゃっかり大人の雰囲気ムンムン漂わせていたのには驚愕。

【ラスト】

「最後に見せたランナーズハイを体験した者しかわからない笑顔からくるライター点火…」と、考えた人が多いのではないだろうか。私は、ラストの田口トモロヲ演じる安田が選んだ道というのは、ライターを点けず前を向いて歩いたのだと、強くトモロヲオーラから思い描いた。だから、あの「バン!」という音は安田の中に眠っていた前向きを司るDNAが目覚めた音なのだ!

冷静に言えば、前を向いて走る事に快感を覚えてしまったら死ねれないこと間違いなし。彼は全力で走ったことが無かったと過去を語って精算、挫折から脱却したのだ。そして自信が芽生え始めた体に漲るパワーが、鏡に映ったラストの笑顔に表れていると言っても過言ではないだろう。

で、SABU監督なのだが、テクニシャンという言葉以外に「やったもん勝ち」という明和電気(アーティスト)と同じ考えが根底に流れていて、意表を突きながらも見る者に「やられたぁ」と考えさせないで「卑怯!」という一種の感情論を、スタッフロール中に展開したくなる構成は見事。

最後になったが、走るだけの行為頼みで、一見駄作に陥りがちな展開に引きずり込まれるところにSABU監督のスタイリッシュセンス。スゲー天才だ。

2002/11/12

(評価:★4)

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