[コメント] ナイル殺人事件(1978/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「トリックや犯人なんぞ、すぐ分かった!」ってのは抜きでいくと…
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ほどよい役者たちと、ほどよい登場人物の数、ほどよく動機が登場人物のそれぞれに産み付けられているのは面白いが、私的に面白いのはそこまでであった。
なぜなら、何故にエジプトのナイルの船で殺人を計画したのか全く分からないから(…他多数)。遅かれ早かれ云々以前に、捕まる確率が高いし逃れようにも逃れられない状況が一瞬で出来やすい(さらに乗客が限られている+外国)船内で犯行するといった、リスクが青天井ときている点が明々白々な場所なのに、ずーっと前からソコで犯行する計画していたのだからゲンナリする。
突発的犯行なら多少の理解は出来るのだが、計画的犯行なのだから手の施しようがないのではないか。どうだい?
(ついでだから言っておくと、設定がわりと音が響きやすい「夜」の船内で“消音装置ナッシングの”ピストルをぶっ放して誰も気づかないなんてありえないってこった。現にピストル音が大きいのをちゃっかり作中では忠実に表現していたのにもかかわらず、奴らはバカか?バカなのか?と思い、彼が彼女を殺して戻って自分の足を撃って玉を詰めて凶器をくるんで巻いて海に捨てるまでの時間があまりにも曖昧で、計算していた、計画していたとは思えない。全く完全ではない、完全のかけらすらない超雑なトリックで納得できる人は、よっぽど観察力がないか推理モノに縁のない人だとつくづく思った。で、ある意味これに感動した人はしあわせだ。これ以上の映画があるのだから、これから感動しまくること間違い無しだから。)
雰囲気第一で内容は第二にしてしまったらしい生半可な男女と、カメラの構図に凝らないで“エジプト!”ていう勢いに任せたままの芸のない撮影制作部隊に怒り心頭し、完璧な殺人を知らないわけでもないだろうに、とても残念だアガサクリスティ…。
ラスト、全くジェーン・バーキンが活かされない映画によって、頭がイイという設定だったはずの彼は撃沈し、近松門左衛門よろしく心中ときやがった。私は手抜きの原作を映画化してしまう神経に敬意を表し、ポワロ=ピーター・ユスティノフの違和感に最後まで悩まされるのであった。
今やポワロ=デビッド・スーシェがデファクトスタンダードだし、ピータ・ユスティノフの髭&体型はまとまりに欠いていた点は外せない。
…と、再見してみてよく分かった。
2003/5/27
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