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[コメント] ポロック 2人だけのアトリエ(2000/米)

主演二人の演技の素晴らしさ。役者の存在感ってのはホントに凄いねぇ。 2004年1月12日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







予告を見て「う〜ん」と思いながら見に行った本作。最初の内は中々面白く観ていた。エド・ハリスの飲んだくれぶりと、それを支え画家としての夫を尊敬し、愛していた妻。その献身的な愛には本当に感服させられた。

とにかくこの二人の演技、と言うか役に命を吹き込んでいる様が素晴らしい、と言うのだろうか、とにかく圧倒的だった。

ジャクソン・ポロックの画家としての「売れ始め→最盛期→堕落」の人生を描ききる。その演出の手堅さは中々好感が持てる。下手に感動させようと言う媚が無く、メインを描く事に徹底しているその視線には何か他の映画に無い好感が持てた。ポロックの自分自身に対する苛立ち、絵が売れた時の嬉しさ、アイデアが浮かんだ時のひらめき等々に見事にのめり込んでしまい、完全に感情移入していた。

画家と言う未知の(表現は悪いが)”生き物”に感情移入をさせられていた。その手腕は大したモノだと思う。(ただ単純に「ジャクソン・ポロック」と言う人物を感情移入が容易な様に描いていただけかもしれないけど)

だから「最盛期」まではとても面白かった。妻の愛とポロックの無言の愛。妻に対する無言の愛と、作品をイメージだけで描ききるその圧倒的なパワー(つーかあれは絶対説明とかは後から付け足した物で、あの絵はイメージだけで描いてんじゃないのか?と思うのだが)に見事にのめりこんでいた。

だけど、あの全盛期からの堕落。再び飲酒を始め、他の女をたぶらかし始めるその彼の堕落ぶりにはイマイチ感情移入できなかった。と言うか、なんつーんだろうか・・・そこに彼のやりようの無い苛立ちをイマイチ感じる事が出来なかった。

作品を描きたくても描く事の出来ないもどかしさと、妻と別の女と寝ている時の一時の”暇つぶし”の「虚無感」。そういったモノにももっと焦点を当てて欲しかった。そう言う物は、ジャクソンがアトリエでどうしても絵が描けないで居る様子や、一人で苛立ちをつのらせていくシーンを挿入して表現するべきじゃないか?と思うのだけど・・・

まぁそんなもの個人的な嗜好でしか無いのかもしれないし、実際それなりに描けて排他とは思う。だけど、どーもラスト30分は突然作品が間延びしてダラけてしまっていた気がする。そして一番盛り上がる箇所のはずなのに冗長にすら感じてしまった。

なんか良い映画なんだけど評価しきれない。脚本がどうのこうの、ではなく、手堅く「描く事」に焦点を当てた演出と、それを支える見事な演技が素晴らしい作品だった。

ので少しおまけで★4(3.5)

ちなみに劇中に登場したエド・ハリスのちゃぶ台返しならぬ「テーブル返し」は大迫力だったなぁ。やはりエド・ハリスは格が違う(謎)

ちなみにYasuさんの「あらすじ」を読んで、エンドロールに書いてあった「父と母に感謝する」みたいな記述の意味が何と無く分かった気がする(って書いてありましたよね?それ系の事)

(評価:★4)

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