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[コメント] 誰も知らない(2004/日)

誰も知らない、誰も気付かない。そんな暗闇の中懸命に生きる。そんな姿を見て、高慢か思考停止なだけかもしれないけど、何も感じない自分が居た。 2004年8月20日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ただ淡々と彼らの生活を追いかけるその視点には同情なんてモノは無い。証拠に、作中で彼らは誰の助けも受けない。いや、助けは確かに受けている。コンビニでモノ貰ったり「父親」に金借りたり・・・でも、それを助けとは言い難いと思う。徹底して、淡々と突き放して、しかし愛情を持って彼らを描く製作サイド。

電気が止まったマンションの一室に差し込む光。演出なのだろうけど、ソレが監督の優しさってモノなのかもしれないとふと思う。

けど、コレは今俺が「普通に」生活できている事による高慢なのかもしれないけど、この物語を見ても、失礼だが「だから?」という印象しか受けなかった。

誰が悪いだの、そういう映画ではない。けど、こんな文章書いている傍らでもこんなガキが居る可能性だってあるんだ。あんな映画見てる傍らでも同じ環境、否、もっと苛酷な環境の下で育っているガキが居るかもしれないんだ。

そーゆー物を描く映画じゃない。この映画は子供たちが力強く生きて行く姿を描いた映画だ、と反論されたとして、それを見せられても俺はどうとも思わなかったんだよね。暴論だけど。

彼らだって生きている。戸籍が無かろうと、存在が知られて居なかろうと、親に捨てられていようと彼らだって生きている。電気も水もガスも無いマンションの一室で、夏の暑さに耐えながら、冬の寒さに耐えながら生きている事は分かる。

彼らには幸せは来ないかもしれない。それでも、身近な所で楽しみを見つけ明るく生きる。母親を恨まず、懸命に生きる。

長男は全てを背負い込みながら、生きる。時々、自分にとって憧れであり楽しみである物を見つけながら。きっと彼も母親と同じ様に全てを投げ出して蒸発したかったんだろうね、とか思ったりもして(ぉぃ

生命力溢れる作品である。

でも・・・なんだろう。俺は何も感じなかった。

「彼らだって生きている」

そんな事は分かってるんだよ。でも同情も出来ない。出来るはずが無い。泣けるはずが無い。もしかしたらこの世界が俺の理解の範疇を超えていたのかもしれない。いや、そんなはずは無い。

なぜだろう・・・

少々長尺過ぎる気もした。ただ、コレだけ自然で且つ説得力ある生命感溢れる演技をさせた演出力は素晴らしいと思う。

終盤のモノレールの中で抜け殻の様になった二人に被るタテタカコの挿入歌「宝石」も絶妙なタイミングで素晴らしい。

生活の描写等も上手く、大変良い映画であろう事は分かる。こんなに自然で力強い子供たちを描けるって凄いと思う。

(評価:★3)

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