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[コメント] 僕の彼女を紹介します(2004/韓国=香港)

「こんなシーン良くね?」「ここで音楽流すとなんか切なくね?」「泣きました!感動しました!」安易な演出とコンセプトで生み出された安い感動映画。鬱陶しい。大体、お前、彼女紹介しとらんじゃないか。 2004年12月23日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ソウルだか何だか知らんが、ビル街の夜景を空撮。こういう撮影に俺は弱い。クァク・ジェヨンにはハナから期待しちゃ居なかったが、否応でも期待させられる。彼女登場。ビルの屋上で両手を広げて自殺モード。男のナレーション。

・・・・・この女が写るまでは良い映画だったんだよ、本当に。この女が写り、「今から自殺します」と言うシチュエーションを提示された途端、ある程度物語が読めたんだ。マジで。で、本気でうんざりして、「あ、見た俺がバカだった」って後悔してたら、本当に予想通りの序盤が展開され、予想通りにアクションシーンが挿入され、予想通りに恋人を誤射して・・・っておーーーーっい!!!

例の如く予備知識殆どゼロの状態で鑑賞。見る前の俺の気持ち「あぁ、クァク・ジェヨンか。『猟奇的な彼女』は最高だったけど『ラブストーリー』は酷い映画だったなぁ。まぁ、酷いなりにも、何箇所かハッとするシーンあったし、今回もどーせ似たような物だろうけど、ま、もしかすると、って事もあるかもしれないしなぁ・・・一応見ておくか」

で、鑑賞後。「あ、甘かった・・・俺の想像を更に超えて詰まらん・・・」

そーゆー訳で、★2にしてもいいのだけど、『猟奇的な彼女』→『ラブストーリー』→『僕の彼女を紹介します』と退化の一途を辿るクァク・ジェヨンに★1を胸を張って献上する。クァク・ジェヨンよ、★1より低い点数ないんだぜ。コレはつまり、俺はあんたはこんな糞映画作るより、もっとマシな映画を作れる、と信じて思い切って★1をつけてるんだ。だから、お願いだからこれ以上退化しないでくれ。じゃないとシネスケの評価が6段階になっちまうんだ!!!

と、訳の分からない前置きで始めちゃったんだけど、本当に詰まらなかった。

どんだけ詰まらなかったかと言うと、上に書いた事を繰り返すのだけど、開始5分で何となく展開が読めて、キャラクターが読めて、見事それ通りに物語が進んで、挙句の果てに映画文法とでも言うのか、冒頭に主人公男性の声でナレーションを入れた意味が全く成立してない。

第一、コレって死んだ男の回想+現在の状況とナレーションになるんだろうけど、死ぬ以前の物語は全て男の視点で語られるのが普通じゃないのか?ってまぁ、そんな突っ込みしても意味はないんだが。

あ、それからコレ、冒頭で高々と「僕の彼女を紹介します」とか宣言しておいて、最終的にテメーらのイチャイチャぶりを見せ付けて「僕は風になって君を見守ってるんだ」とかなんとかほざいてるだけであって、何も紹介しちゃいねーんだよな。ま、こういう感想を「揚げ足取り」って言うんだが。

本作において、映画的文法(って何?まぁいいや。)云々語る事は野暮だろうし、第一そういう文法だの何だのってのは、特に創作に於いては破られるためにあるはずだと思うので、破られる事は俺は別に構わないし、第一面白ければ細かい部分は気にならずに★5を献上できるはずだろ。

でも、もし破るからには破るなりの説得力が必要不可欠なはずだと思うのだけど、この映画はただ好き勝手に「良さそう」で「泣けそう」なシーンを羅列し、適当に繋げただけなので説得力は皆無。冒頭の、自殺する主人公+夜景+ナレーションだって、どーせそういうコンセプトで挿入してるだけだろ?だって、俺、物語が進むに連れて物語があのシーンに繋がった瞬間、何の驚きも感動も悲しみも感じず、ただひたすらションベン行きたくてたまらなかっただけだもん。

「こんなシーン良いかも」「ここで音楽流せば泣けそう」だのといったコンセプトの元で作られた(と思われる)シーンを羅列したこの映画がひたすら俺の神経を逆撫でし続け、俺は終始苛々し続けていた。何度、その露骨に“感動”を狙ったシーンに溜め息を漏らした事か。いや、実際はトイレ行きたくてたまらなくて、溜め息漏らすだけでも漏れそうだったから、3,4回程度しか溜め息漏らしてないんだけど。

あ、それから『猟奇的な彼女』は、まぁ100歩、まで行かなくても50歩譲って許すとして、『ラブストーリー』は一応時代背景的に戦争に巻き込まれる必然性はあるのだけど、本作に於いてこうも過激にアクションシーンや犯人追跡シーンを執拗に見せる必要性は全くない。アクション映画を撮りたいのならばアクション映画を撮ればいい。

この雰囲気のこの物語にあそこまで派手な銃撃シーンや、ダラダラと長い犯人追跡シーンなどを中途半端に挿入するのは観客バカにしてるとしか俺は思えないんだが。そんなの監督の自己満足じゃねーか。少なくとも俺はそんな物見たくてイチイチ高い金払って映画館まで足を運んであんたの映画見てるんじゃねーんだよ。って、まぁ正直言うと、予想してたんだけどね。でも、ここまで酷いとは予想してなかったけど(笑)

ラブストーリーとして重みが全く無い結果に終わってしまった原因は、恐らく焦点が散漫になってしまっている点に原因があるように思う。

こんなヘンテコな構成でどっち着かずの事やってるから、最終的に49日の日に男が女の元に帰って来た時に、長々と台詞で説得力の全く無い「感動のシーン」を演出するハメになるんだよ。普通、あぁいう恋人との別れの場面は、もっと完結に、ストレートに、そして詩的に行うべきであると思う。

あぁやって台詞で延々とダラダラと見せたがるのは、シチュエーション並べて一本作った証拠。

それから登場人物のキャラクターも自分の作品の焼き直しの域を出て居ない為、ホント、この監督の前2作を見ていればある程度行動の予想が出来る。ので、ドラマがどういう風に運ばれて、どこで泣きの演出が行われるかも、ある程度予想が出来てくる。そして、見事に物語は、その観客の予想を裏切らず進んでいく。

勿論、そういう物語にだって面白いのや、素直に感動できる物語はある。でも、シチュエーションを並べただけで、そこに感情が伴っていない単調で予定調和的な自己満足物語に感動なんて生まれやしないし、生まれたとしてもそんな物数日で消え去ってしまうその場限りの安っぽい軽薄な感動でしかない。

前作『ラブストーリー』は、俺は嫌いなんだけど、一応ヘンテコな謎解き等も配してあったが、本作はヘンテコなアクションシーンとキテレツな恋愛シーンを並べて、2時間もぼったくる。

俺のレビューなみに執拗に「泣けそうな」シーンを繰り返して、だ。もうホント、監督がこのしょーもなさを自覚して小遣い稼ぎとして製作し、実は物凄い映画を撮る準備を進めている事を願うしかない。

はぁ・・・はぁ・・・なんかホントに映画より俺の方がしつこいな。

ただ、この邦題は成功だと思う。『猟奇的な彼女』のヒットに釣られて「彼女」シリーズ(そんな物実際は無いんだけど)として何となく義務的に見てしまった俺みたいな客が沢山居るはずだ!(そして、その半数はきっと失望したに違いない)

ま、こんな訳の分からない女紹介されても困るんだがね。ちっとも警官らしくない警官。ちっとも魅力無いワガママ。沢山犯した過剰防衛と傷害事件と他もろもろ。なんですか?もしかしてこれ、彼女の犯罪歴を徹底的に告発する趣旨で行われた「紹介」なのか?あ、なるほど。コレは手の込んだブラックユーモアか。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ebi[*] にゃんこ[*] makoto7774[*]

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