最初はハードゲイの世界が強烈なのだが、慣れとは恐ろしいもので、観ているうちに、カレン・アレンとの絡みに違和感を感じる一瞬があった（変だとは思うが本当だから仕方ない）。

古代世界では、多くの地域で、“同性愛”などという区別はせず、男でも女でも性愛の対象になるのが普通だったそうだ。人間は、いつの間にかそれを区別し、“異常”というレッテルをはって安心してきた。でも、正常も異常も多数決で決められたようなもの。人間本来の性愛がどういうものなのか知らないが、この映画の“クルージング”の姿は決して異常ではなく、主人公が犯人を追いつめて行く姿にさえ、そういったものを重ねてしまうほど、さまよう姿というものに多くのことが集約されていた。