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[コメント] 空飛ぶゆうれい船(1969/日)

数百年の耐久力を持つ名作『太陽の王子 ホルスの大冒険』より、エイヤッと気合一発ででっち上げられた今作の方が後世のアニメに絶大な影響を与えているのは面白い。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







孤独に戦うドクロ英雄は石森章太郎の世界だが、松本零士のハーロックや庵野秀明のネモ船長なんかに絶大な影響を与えている。ボロボロのゆうれい船の内部が実は超未来メカ、なんてヤマトや999でそのままやってるからな。

国家を操る軍産複合体への批判は石森のサイボーグ009に発展し、戦車の暴走とゴーレム大暴れの原画を描いた宮崎駿はこれを「さらば愛しきルパンよ」でゴージャスに繰り返してみせた。宮崎駿は軍事産業を「紅の豚」や「風立ちぬ」でも引用し、ただの軍事批判ではなく自分の内面の問題として語るところまで行きついてしまう。

ボアジュースに象徴されるメディア支配と大衆操作は『メガゾーン23』が描いた偽りの80年代に蘇った。洗脳的CMを繰り返し挿入する手法はポール・バーホーベンが勝手に受け継いだ。このへんは脚本の辻真先なんだろうなあ。

このまんが映画は何も知らないお子さまに「国家を疑え! メディアを疑え! 体制を疑え! 30歳以上を信じるな! ロック様の妙技を味わうがいい!」と高らかにシャウトしているわけで、すごい映画やなあと思います。ただ、映画それ自体はそんなに面白くもないんだよなあ。

(評価:★3)

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