いやまぁこの映画に不満がないというわけではないが…。

ゼロ年代の日本を舞台にこういう女性の人生と出会いの映画をやろうとなると、架空の大事故や大事件を利用することになるだろうか。そういう意味では光州事件は非常に好都合にいいエッセンスになっている。まぁ他の事件じゃだめというわけでもないだろうが、実際の事件を下手に使うとそれだけでうさんくさくなる。時代が違えば別だろうが。光州事件を使った、さりとて別にこれは政治映画では全然ない。正統派の「ドラマ」だ。まぁ、良質のTVドラマ、と紙一重だったりするのだけど、終わってみれば奇をてらいすぎないのがよかったのではなかろうか。

まぁ、といっても、内山理名がキム・ウンスに惹かれていくあたりは…説得力がイマイチ弱かったりするので、はてさて。そんなに悪い演出ではないので救われているのだが、これも確信をもって演出意図通りなんだろうか。キム・ウンス のキャラクターも、正直あまり韓国人っぽくない（飲み会へのつきあい方とか就任の挨拶とか、日本人っぽすぎるんじゃないかと）。いやまぁ韓国人だって色んな人はいるんだし、日本人との仕事に慣れてから来日したならわからんでもない。

で・・・内山理名の彼氏はどーなったんですか？そもそも４人で食事をしてるときに彼氏の発言できまずくなって彼氏が退席させられるくだり、あの絵面だけだとそんなに気まずく見えなかったんだけど、いやあの絵だけがどうというより、敢えて余計なことを描かなかった結果、彼ら４人であればあれで気まずい状態であるという蓄積があると描いたと言うことなんではなかろうか。ま、90分を下回る尺で余計なことを描かないのは成功だったと思うんだけど。