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[コメント] サイコ(1960/米)

トラップ(02/05/10)→
秦野さくら

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私はマリオンに感情移入していた。情無き恋人に苛立ち、目の前の大金にドキドキし、警察の影に共に怯えた。モーテルの主人の告白に耳を傾け、そしてマリオンの心の変化と懺悔の気持ちの芽生えに安堵した。

しかし、マリオンの死の場面から、主人公が切り替わると共にドラマは一転する。

マリオンが死ぬことは、知っていた。しかし、ここまで途中からマリオンの存在がおざなりにされているとは思わなかった。

愛する男のもとから去るときのマリオンの悲しみの背中は一体なんだったのか?

追手に怯えるマリオンの恐怖の顔の連続シーンは一体なんだったのか?

シャワーを浴びたまま横たわる、マリオンの美しい骸の刻銘な描写は一体なんだっだのか?

物語の最後まで、彼女の片鱗はとうとう再登場しなかった。確かにさすがのヒッチコック(なのか?)、私に最後の最後までマリオンはもしや生きているのでは?という期待は抱かせてくれた。そういう意味では、私の中には常に登場していたのだが、それは、私にとってはただの監督の仕掛けたトラップだ。

・・それが、ドラマの複線であり、トリックであり、華であり、テクニックだったとしても、私はそういうヒッチコックの描き方が嫌いだ。

(評価:★3)

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