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[コメント] イン・ザ・ベッドルーム(2001/米)

即物的で意気地のない作品。(注意、レビューははじめからラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







………なんであそこで終わってしまうのか。

もちろん、そんなことをしてしまっては死んだ息子が浮かばれず共感できない、と言いたいわけではない。息子にしろ元夫にしろ自分の行動に対する帰結が示されたのに対して、あの夫婦がやったことに対する帰結が示されないままにぶつ切りにされてしまうことに表現姿勢の不誠実さを感じた。捕まってしまうのか、捕まらずとも新たな苦しみが生じるのか、逆に軽減もしくは解消されるのか、はたまた二人で自決するのか逃亡するのか、何事もおこらず日常が展開されるのか、その前兆を示さずに観ている側にボールを投げられても受けとめようがない。最後の父親のセリフは若者たちへの理解不能を表していると感じたが、一方でこれ以上物語をすすめていくことができないと怖じげづいているようにも聞こえる。

小道具の使い方や撮り方も気になる。カゴのなかのエビの話にしろ、父親と弁護士の会話での互いのクローズアップの頻繁な切り返しによる安易な不快感喚起の演出にしろ、どれもが深みをもたせるためではなく即物的な表現に感じる。元夫を救いのない人間と強調することによって、悲惨な殺され方をされても当然、といった感情を抱かせるよう誘導した演出も鼻についた。リアリズムの皮をかぶっているが、実際は相当に捻じ曲がった世界観。

雰囲気は『スウィートヒアアフター』に近いが、深みにまったく欠けるという意味で相当に異なる印象を受ける。1点寸前の2点。

(評価:★2)

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