★３．５（退屈はしなかったので）

この映画の欠点はラブストーリーとグロが両立していない点だろう｡どちらも描こうとするから非常に中途半端になってしまっている｡怪人の恋愛は観客の同情を誘えたはずなのに掘り下げが不十分｡過去の監督作品と異なり残虐描写の存在理由があまり感じられない。この二要素は相容れないとは断言出来ないが､一つの映画に同居させるにはもっと入念に仕上げなければならなかっただろうに｡

とはいってもヒロインが美しい｡映画を支える説得力のある美しさだと思った｡これからＢ級映画のヒロインになってほしい｡なんとなく。

それと､美術もまあまあしっかりしている｡船のシーンなど最高に美麗だ。

この作品は決定的な目玉と呼べる個所がなかったので、例えば怪人とヒロインが物凄く官能的なラブシーンをやり情感的な頂点を作っておけば､少しは全体の印象が変わったかもしれない｡