不倫が盛り上がっていたのに、夫の愛情を知るや女にとって若者はどうでもいい存在に。いくら逃亡計画に夢中になったとはいえ、いくら若者がその場にいないとはいえ、むごい。

しかしこの女は別段非難されることなく、みんなが彼女に手を差し伸べる。これは彼女の人徳だろう。彼女は感情の赴くがままに行動しているのであって、夫を裏切ることに、若い男を誘惑してしまうことに、何ら罪悪感を感じていないようだ（夫が裏切ったと思ったんですもの寂しかったんですもの、彼は優しかったんですもの、とでもあっさり言いそう）。

こういう純粋さは人を惹きつけるし、恨む気にもなれない。これぞ、本当の悪女だと私は言いたい。いやはや羨ましい。

ところで私はあの若者がお気に入りだったので、後半に彼の扱いがずさんになったのが不満。まあ、あれで生きていられても話が泥沼になるだけだろうから、しょうがないのかな。