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[コメント] 暗黒街の顔役(1932/米)

リメイクの必要性
ギスジ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







デ・パルマの「スカーフェイス」がリメイクだと知ったのはこの作品を観る前。それを知ったとたんあまり観る気がおきなかったが、とりあえず鑑賞。 観ると「意外?」に面白く、しかも恐い。ムチャクチャである。町中で平気に機関銃を乱射、敵がいれば殺せばいいという安易な動機、マフィアの凶暴性が凄く出ていて、今観てもかなり恐い。

驚いたのが、デ・パルマの作品はまさしくこの作品をベースに(あたりまえだけど)より忠実に再現していたことであった。 二つの作品の唯一の違いは、妹がトニーを撃つか、撃たないかの違いだろう。ホークス作品は撃たなかった。妹はトニーに抱きつき、しかも警察に発砲するトニーの手伝いをする。もの凄いクレイジーな映像だ。そして警察の銃弾に倒れる。このシーンは、デ・パルマの作品より刺激的でバイオレンス。 しかもトニーは、命乞いをする間抜けなヤツになってしまう。とても見苦しいシーンだ。刑事が一言「銃がなきゃ臆病なヤツだ(間違ってたらごめんなさい)」そして逃げ、銃弾に倒れる。実にぶざまに描かれている。それがいっそうリアルさを感じた。

デ・パルマのトニーは、全然違う、むしろカッコイイのだ。映画の主人公という感じで、男ならこうありたいという感じ。命ごいなどしない、「来るなら来やがれ!」その時、ハワード・ホークスのとデ・パルマの「スカーフェイス」のスタンスの違いを感じた。

エンディングは大きく違うのだが、ほぼ内容は一緒。リメイクする意味とは何なんだと思った。デ・パルマの作品を観直すと、僕なりな答えが出てきた。ハワードホークスの作品はたしかに面白い、かなり興奮した。むしろデ・パルマ作品より凶暴性を感じる。しかし、やっぱ古い。なにをとっても古い。この映画に共感できるのは映画マニアか古い映画も違和感なく観れる人ぐらいなもんだと思う。 悪く言うわけじゃないが、一般の人には間違っても出会う事の無い映画だろう。 僕だって、「この作品が観たい!」と思って観た訳ではない。ただなんとなくな動機からだ。 これほど面白い作品だから余計痛い。だからこそデ・パルマのリメイク版は貴重だ。

(評価:★4)

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