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[コメント] 8mm(1999/米)

その昔、アングラ系の資料 (と言っても、孫資料どころか曾孫や玄孫資料ばかりです) を漁った事があるんですが…
こしょく

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 その時に薄っすら感じた、「行ったら戻って来れない世界」や「知るべきでない世界」は本当にあるんだなぁ…という思いが想起されました。そりゃ、全ての人が戻って来れないわけではないでしょうが (主人公はそうであってほしいです)、弱い人は取殺されてしまうような。

 「経験」というのは、一般論では多種多様に積むのが望ましいのでしょうけど、ユング (だったけ?) が言った「一度経験してしまったら無垢には戻れない。それは物質と物質が化学反応を起こすのと同じだ。もう元には戻れない」という言葉は、間違いなく真理でしょう。

 この作品自体、参考にしたのは間接資料なんじゃないかと思うんですけど、映画の題材としては重量級かなと思わされました。

 映画として、「闇」に対する「光」、主人公の良心や、母親の子を想う心、これらの描写が上手いなと感じました。「闇」を際立たせる為には、「光」は重要な要素でしょう。これは勧善懲悪という意味ではなくて、実際「闇」一色に塗りたくってしまっては、平板なものになってしまうでしょうから。

 特に、母親の描写は秀逸。ベタベタな「親」として描かず、主人公に飲食をすすめる等々、間接的に描いている。あの程度の描写時間で、母親の哀しみを強くうったえられました。上手いなぁ。

 最後に、マシーンの正体 (そして、ついでに言えば「格闘力」も)。「怪物」として描かなかったのは、よく解ってると感じましたね。実際そうなのよね、多分…。

(評価:★4)

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