しかし、オープニングから、どこまでいっても心拍数はレッドゾーンにあがりっぱなし。

この監督は上手い。巧い。近頃の映画の音楽の文学の引用につぐ引用、揺れるハンディカメラ。短いカット。暴力、事故、手術、泣き声、電話、なにから何までを圧倒的な勢いで生理的に響かせ。そして、何よりクールな。あるいはＣＭのような。ＰＶのようなキレまくった映像で押す。押す。押し込められるう。

しかし、この男にも、その女にも、この男にも、それこそ今風な映画よろしく彫りが浅いんじゃないだろうか？はてな。とか考えている内にも、次第に繰り返される物語。それは、交通事故という時間軸で重なる「彼ら」というだけでなく、犬と飼い主が、そして、彼らの物語り自体が別の物語へ、暗喩として、「主題」としてまでも引用され、重複される。

それもそれで、お見事。上手いよ。と、また唸るも、うわべの上手さで、神や神話までをも引用するも浅いよ〜。荒野を歩くラストに、人間の寂寥とした荒野が。。 いや、浅いだろ！あれ。なんかきいてくる？なんだこりゃ。と、暫く立ち上がれない。

と、観終わって数日たっても、仕事しつつも、頭の中は「アモーレス、アモーレス、アモーレス・ペロス」のことでいっぱいさ。 原題からして二重の意味があるというこの映画の、思いの伝わらなさぶり。 登場人物たちの、孤独に打ちひしがれる姿も、それらが次第に響きあう。自分のどこかで共振がおきている？ちょっと効いたかも。。

あなたに伝えられなかったことを想う。 愛している　いや言わんでいいですっテバ。