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[コメント] 天井桟敷のみだらな人々(1998/米=スペイン=日)

ダントツで最高の映画。空虚で嘘みたいな自分の人生をどうやって真剣に「演じ」るのかという問いにひとつの答えを提供してくれる映画。この映画は「不完全」かもしれないけど、正直で真実味がある。自分の生き方に影響を与える映画だった。
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見てる最中も見終わったあとも私はとにかくしゃべりとおしだった。「演じる」ことの意味をこれほど正確に捉えている映画は見たことない。「言葉は言葉でしかない」「自分が望むのは本当の言葉」、これこそロシアフォルマリズム・大江健三郎のいう詩的言語。そしてそれこそ空虚で嘘みたいな自分の人生をどうやって真剣に「演じ」るのかという問いに対するひとつの答えだと思う。誰のどんな台詞もとても洗練されている。舞台・現実の境、各人の舞台の境が巧妙に分断・結合されていて物語が難解にされているぶんそのメッセージに深遠な意味を与えている。こうやって言葉についた垢をこそげ落としてく。そして、映画の中の演劇・映画のなかの現実・映画を超えてたどり着いた言葉は直に自分の胸に刺さってくる。この映画は「不完全」かもしれないけど、正直で真実味がある。この「不完全」な映画に賛否両論はあると思う。でも完全な映画よりも正直で真実味のある映画にこそ価値があると思う。

(評価:★5)

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