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[コメント] 朝を呼ぶ口笛(1959/日)

これが映画初出演になる吉永は、主人公のマドンナ役。これでもかこれでもかと血涙を絞りまくる本作にあって、一服の清涼剤になるプチブルお嬢さんを演じている。主人公との関係は『愛と希望の街』を思わせるが、もちろんああはなりません。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公の父親は交通事故の傷が直りきらず、母親は過労の上に胆石手術を受けねばならないため、少年は新聞配達をしながらの夜学通いを諦め、職工になろうとする。これには、夜学を卒業して大企業に就職しようとして失敗し、秋田の炭鉱に行かねばならない先輩への失望もからんでいるのだが…。

これが作文コンクール文部大臣賞受賞作が原作であるにしろ、ここまで悲惨だと作為めいたものを感じてしまうのだ。自分は「明るい貧乏」映画は嫌いではないが、正直「お涙頂戴貧乏」モノは苦手である。このコンクールと作文の映画化で、吉田少年は立派に高校に行けたのであろうが、その背後に文才のない幾万の貧乏少年がいることを考えると…どうも複雑な気持ちを抱いてしまうのだよなあ…。

とりあえず、新聞ドロ関係のトラブルから思いがけず親しくなり、自転車を貸してあげたり声援をおくったりと主人公に暖かかった吉永に1点プラス。彼女の存在が暗いこの映画に光を灯してくれている。

(評価:★3)

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