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[コメント] 苺の破片(2004/日)

自分はこの点をつけたが、漫画描きでない皆さんは、この「普通に」わがまま勝手である漫画家を見てどう感じられたかをお聞きしたい。カルーセル麻紀の「あんたは我が身を削って新しいモノを生んでくのが仕事でしょ」とのセリフが、やけに骨身に沁みた。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







過去の栄光にすがって生きている漫画家。彼女は自分の現実と願望だけをネタとしてきたから、それが奇跡的に当たった「チェリーロード」という一作をどうしても超えることができない。そしてまわりの誰も彼もが彼女の元を離れてゆく。…いやぁ、痛いわ(自分の場合「過去の栄光」すらないに等しいのだけれど)。そこから抜け出そうとあがき、亡霊にすらすがる姿は他人とは思えない。

漫画家とその予備軍、必見。

少数の成功者と変わり身の早い人を除き、これは漫画家だれもが経験する苦悩のカタマリだ。イチゴは(比喩的な意味での)亡霊を亡霊と見極めることで永遠の迷路から抜け出すことに成功するが、それすら身をよじる激痛のような感情とともに為されることなのだ。せめて彼女のガッツは買いたい。凡百のダメ漫画家はそのつまずきで一生を棒にふるのだから。

あとで主演女優ふたりの脚本であることを知った。高橋ツトムからのアドバイスもあったのだろうが、漫画家の生き方に嘘がないことに改めて驚嘆するとともに、青春から遠く離れてしまいながら少女の部分を残している主人公の描きようを高く評価せずにはいられない。『櫻の園』からの縁ということで、遅ればせながら観なくてはいけないな、と自分の勉強不足を反省。

(評価:★4)

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