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[コメント] 黒い雨にうたれて(1984/日)

漫画家・中沢啓治の、原爆とそれを使用したアメリカという国家に向けての奔流のような憎悪が、狂気すら帯びて見える過激さで噴出している。ただ純粋に過ぎるその感情は、見るものに口を挟むことすらためらわせる。
水那岐

言うまでもなく中沢もまた被爆者であり、それゆえに故郷と隣人を奪われた怒りを論理を超えたスケールで訴えることに反論できるものはいないだろう。

彼は『はだしのゲン』の現代編をいつか書くことを公言してきたが、最早老いた彼にそれを描く余力は残されていないようだ。それゆえにアニメーション製作者として、あえて子供達も観客となることを意識しながらヤクザやパンパンといった戦後広島を語るに欠かせない人々に、己の代弁をさせることをもいとわなかったのだろう。

内容的には子供が一人で観る分には判りづらいかも知れないが、親が上記のことを踏まえて解説しながら見せるのが理想的だと思われる。

(評価:★4)

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