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[コメント] ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国(2010/日)

登場人物の悲愴な死によってドラマを盛り上げる安直なSF映画よりは、このオプティミズムの極みのように能天気で、単純に「カッコいい」作品こそを幼少の観客に楽しんでもらおうという監督たちの思いは極めて正しい。特撮がチャチだなんて恥でもなんでもない。これこそが21世紀の子供たちに誇れるSFアクションだ。
水那岐

期待していた訳ではなかった。所詮これはSFではなく、スペース怪獣アクションという安直なジャンル上に存在する作品に過ぎず、しかもウルトラシリーズに『ミラーマン』『ファイヤーマン』『ジャンボーグA』という別作品を無理矢理絡めたと聞けば、これは論評の余地もないと考えるのが当然のことだろう。

しかし、『スター・ウォーズ』シリーズからの模倣も含めてそんなことを気にさせるほどチャチな展開ではなかった。子供映画が大好きなオトナ達スタッフの限りない熱意がほとばしる痛快作だ。平成に入ってから「ウルトラマンとは何ぞや」みたいな自問自答作品がシリーズの中で繰り広げられたのは記憶に新しいが、大江健三郎あたりの糾弾をものともしない「昔ながらの活劇」はその陰に廻りつつも復活を待ち続けていた。その再臨の狼煙こそがこの作品といっていいだろう。勧善懲悪であり、なおかつ自分が掟だとうそぶいてはばからないつっぱり兄貴ヒーローの活躍作。ゼロがセブンというもっとも人間臭いウルトラマンの息子であるのもむべなるかなだ。自分のことを「俺」と呼ぶいい子ちゃんでないウルトラマンの物語は、願わくばもっと続いて欲しいものだ。

(評価:★4)

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