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[コメント] 荒野の処刑(1975/伊)

原題を確認してビックリ。「黙示録の四騎士」と凄いタイトルだ。そう言えば「活けるキリスト教徒」一行とか、意味ありなゴーストタウンとか、そして音楽は、普通のマカロニらしくなくPOP調で乾いた感じだ。(乾いた感じが宗教的かと言われると・・・?だけどね)
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ここで「黙示録の四騎士」のおさらいをしたい。ご存知のように、ヨハネの福音書第6章に記されている、人類の終末に現れる4つの災厄だ。日本では四騎士といい、伊でも Quattro cavaliere (騎士)というらしいが、聖書(英語訳)の表記は単に 馬に乗った者(horsemen)で、ナイトという意味合いはない。更にいうと、霊というか運命を司るモノとイメージした方が当たっていると私は思っている。

さて本作の原題もcavaliere は付いていないが、そう言う意味からだろう。本映画の英題は「Four of〜」となっているが、同じというよりこれは単に直訳しただけの事と思う。

黙示録の四騎士。第1のモノは支配・征服 (によって死をもたらす。以下同じ)。第2のモノは戦争・闘い。第3のモノは飢え・飢饉。第4のモノは病気・獣。

だが、本映画の物語にこの4つがすっきりとあてはまる訳ではない。ちなみに当て嵌めを試みてみると、第1はこの西部の町のことだろう。第2は凶悪者との闘いか。第3はゴーストタウンらしい。第4は何だろう?バニーのことか?

考えるに、この映画の舞台は西部の末期状態を表している、と大きく捉えるのが正解の様だ。

そして、何とキリストの誕生(!)へとつながるのだ。これは間違いなくそういう意味だろう。

もっとも私が一番印象深かったのは、雨に濡れそぼった廃町(ゴーストタウン)だ。半分狂っていた黒人バッドの故郷だったというのに間違いは無いだろう。例の第3のモノによって飢饉になり、廃町になった・・・。町にしがみつく人々、町を出て行く人々、色々あったに違いない。そしてバッドの家族は後者だったのだろう。

ここ故郷に残ることにしたバッドと主人公2人の別れのシーンが素晴らしい。かくれんぼではなく、もしかすると・・もう既に2人の前には出れない容貌?になっていたのかもしれない。優しさあふれる別れのシーンだった。

(評価:★5)

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