本作は、自分の友達の男を愛した女と、自分の女の友達を愛した男の物語である。後ろめたさを抱えながら、深みにはまっていく２人の話なので、男の元の女は話が進むにつれて不必要で、あっさり失踪という形で消してしまったのだろう。

また、この作品で１シーンを選ぶなら、高原で開放的になりクラウディアがサンドロにしがみつき、二人で愛撫しあうシーン。クラウディアが、これ以上はないというくらいに喜びに満ちた表情をするのが忘れがたい。

しかし、サンドロはなぜ泣いたのだろう。浮気をしたのはchokoboさんの指摘通り建築家の夢が現実ではまだまだ叶わない、満たされないことへのイラダチからだろう。それを、クラウディアに見つけられた。自分に情けなくなって泣いたのか。

SEXでしか満たされない、イラダチ、不安、心のスキマ。いや、SEXでも満たされない諸々のもの。

愛はそれらのものを埋めることが出来るのか？今を、そして今後を予見するようなラストシーンではあるが、肩に置いたクラウディアの手、とその暖かみを感じて、二人は互いに愛を確かめ合いながら生きていくしかないのだろう。