基本ランプリングの主観シーンで構成される。例外はサニエが原稿を盗み見る場面など数シーンのみ。しつこいほどにランプリングの言動を追い続け、その鼻持ちならない独善性、嫉妬心、満たされない性欲求などを暴いていく視点はサディスティックですらある。

まあ容貌の衰えも隠しきれず中島みゆきみたいになっちゃってる（失礼）し、なんだか結構残酷だなあと思って観てたんだけど、庭師に向かってバルコニーで胸を晒す姿が実に堂々としていて、ああこの瞬間のための映画なんだな、とハッとさせられた。

庭師の娘が脈絡なく早老症だったりとかいう設定も含め、終盤の混乱は如何なものか。リンチ風不条理を志向していながら、中途半端に解釈の手がかりを残しているあたり、却って潔くないように感じる。