ハンディカムでの記録映像という形式で、突如として巻き起こったパニックの真っただ中に放り込まれた一市民の視点を見せたいのだとすれば、それにしては全体の状況が判り過ぎ。もっと大混乱が欲しい。

或いは、主人公と元カノとのデート映像を撮ったテープを上書きしているという設定もたいした効果を生んでない。そもそも主人公たちに自身の危険も顧みず彼女を救出に行くほどの強い思いが存在したのかどうかも伝わってこないし、ああいう状況でハンディカムでの記録を続ける強固な意思が継続することの動機も腹に落ちない。

そういったご都合主義を頭から否定するつもりはないのだが、そんなことを不問に付したくなるほどの映像的な圧倒性があるわけでもない。自由の女神の頭が吹っ飛んでくるシーンは面白いが、映像的にはあれがクライマックスだったような。

吸血蜘蛛まがいの小型モンスターの造形も、眼から血がにじんで突然吐血する感染発症も、いかにも類型的。