コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] メガゾーン23(1985/日)

ビデオデッキの普及で、資本が回収できるビジネスになったOVAが爆発的に増殖していった80年代半ば。そのビッグバン期の象徴的作品。オモチャ会社の束縛から放れた作り手が何をしたがったのか? そのサンプルとして、とてもわかりやすい。
かける

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







“男の子向けアニメ”というものが、「オモチャを売らなければいけない」という旗印で作られていた当時、どんな“ロボット”が出てこようと、それは変型や合体をしなければいけなかったし、主人公メカだけはなぜか極彩色だったりと、スポンサーはワガママの言い放題だった。

ところが、オリジナルビデオアニメ(OVA)という市場が開拓されると、作り手は“売れる”ことだけを考えればよくなった。“ちっちゃなお友達”が欲しくなるような真っ白な(真っ赤でも真っ青でもいい)主人公ロボットを変型させなくてもよければ、正義が必ず勝つ必要もない。

そこでどうしたか。ベタなSF的舞台設定。ヒーローでもなんでもなく、最後にはズタボロに負けてしまう主人公。たしかにテレビシリーズでは実現しにくかったかも。

でも、作り手がこの作品で一番やりたかったこと、というか売りにしていたのは、結局のところメインキャラとしての美少女3人組の登場なのだろう。スタッフの趣味が炸裂した造形や設定だというだけではなく、スプラッターで殺されたり、濃厚なベッドシーンまでこなしたりと、存分の活躍だ。

ともあれ、当時まだまだラフな作画も多かったテレビシリーズ以上に「高品質なアニメ」として登場したOVAの代表的作品なのも事実。そして、アニメーションの作り手が制約なしで“売り”を考えた時、それは“大きなお友達”の方を向いた作品になる、という方向性をつけた先行者、ということなのだろう。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。