夢と現実、夢の夢、夢想の夢と願望の夢、色々と取り組んで面白いと思いますが、いまいちビビビっと来なかったのは、やはり『マトリックス』になれなかった点だと思います。 『マトリックス』は夢と現実という捉え方はしていませんが、仮想現実という空間で捕らえた映画です。同じような背景の下で『マトリックス』と『バニラスカイ』はどうしてこんなにも差がついてしまったのでしょうか？ 『マトリックス』は仮想空間という題材に加えて、色々なエンターテイメントを取り入れました。しかし『バニラスカイ』にはそれがなかった。ただ夢と現実を中心に描いた作品だったように感じます。それだけに種がばれてしまうと、あっさりと終わってしまう。余韻も『マトリックス』程強いものはありませんでした。所詮、冷凍冬眠で夢を見るなんてありえそうな話。今はなくとも今後、起こりうるかもしれない近未来的な話でした。この二つの点で『マトリックス』になりえなかったのだと思います。

追伸　ヒロインは素晴らしかった。私も恋しました。