ひどい風邪で寝込んでいた或る日、撮りためていたビデオで観た。

主人公の奇妙な依頼引受人探しと共に、映画はのろのろとしたロードムービーの如く我々を乗せて行く。

映画が進むに連れて、主人公の内面や映画の描かんとする所が、徐々に浮かび上がってくる。それは確かな「このショット」「あのシーン」というよりは、空気のようなオーラのような、気配である。

映画は真面目である。砂利を、主人公の心の闇を丁寧に追っている。

桜桃の味を話し出した時点で、観客は、多分結果を予測する。しかし、どのような結末にさせるのかを見たいという好奇心もある。

桜桃の味・・映画である。この息をひそめた暗澹たる脈拍の主人公の生への覚醒を、どう表現するのか・・桜桃の味をどう見せてくれるのか？　（或いは、見せてくれなくても、いいかなとも）

ラストは賛否分かれると思います。逃げた、とも取れます。は？と驚くだけの人もいると思います。

しかし、ラストの一変した映像・音楽（このサマータイムがまたなんとも言えずピッタリ）

一気に人生を、雑多で音楽が溢れ躍動感溢れる人生を、感じさせてくれた。これは一応成功？かもね。

また年取って観たら違う感想を抱くかも・・03.01.30