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[コメント] サイド・エフェクト(2013/米)

うつ病の症状や辛さは実際になった者にしかわからない。だからこそ、エミリー(ルーニー・マーラ)の演技は怪演だったと言える。本当にうつ症状の表情、行動、発言だった......。かつてうつ病だった僕から見ても違和感のない演技だった。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ネタバレぎりぎりのコメントで申し訳ない。ダブル・ミーニングのつもりで書いた。

傷ついた小鳥――劇中、うつ病を患っている彼女を表現する言葉だ。

それくらい彼女はチャーミングで「守ってあげたい」と男に思わせる雰囲気を醸し出していた。

エミリーーが「詐病」だと判ったときには、何もかも失ったバンクス博士(ジュード・ロウ)と同じようにショックを受けた。

僕も自身の過去の経験から、彼女の辛さを理解してあげられる、そういう目線で見ていたものだから......。

見事に騙された。

それくらい、うつ病というのは他人に理解されにくい病だ。

病気そのものも、病気かどうかさえも。

精神科医も患者の不定愁訴を真摯に聞き取り、治療と処方やカウンセリングをしてくれる者ばかりではない。

本作ではヴィクトリア・シーバート博士(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)が悪徳精神化医として重要なキーパーソンになっている。

彼女とエミリーは恋仲に落ち、共謀して新薬の副作用(サイド・エフェクト)を悪用し、殺人を新薬の副作用による心身喪失状態における犯罪と判断させ無罪にして、新薬に対抗する製薬企業株で大儲けしている。

そういえばシーバート博士は言っていた。「今度は男性の先生なのね。良かった」と。

巧妙な伏線だ。

話は逸れるが、わが国日本でもうつ病や双極性統合失調症はよく詐病に用いられている。

精神障害者手帳を支給してもらい障害年金を取得し生活保護を受けている詐病患者はかなりの数、いると思われる。

もちろん全ての精神科医が悪徳だとは言わない。

だが、詐病かどうか疑いもなく薬を処方する医者は多い。

患者は薬漬けだ。自立支援受給者証があれば患者の負担は1割で、あとは税金から賄われる。服薬されずに捨てられているかもしれない薬に対して国が費用負担している可能性もある。税金で、だ。

だから、だからお願いだ。

精神科医は嘘までは見抜けない。うつ病を詐病の口実に用いないでほしい。

そして、精神科医も真摯に患者に向き合ってほしい。薬を処方するマシンと化さないでほしい。

でなければ、いつまで経っても本当にうつ病の患者は偏見の目から逃れられない、と僕は思う。

改めて書くなら、エミリー(ルーニー・マーラ)の演技は怪演だったと言える。どっちの意味で書いているか、もう明確だよね。

(評価:★5)

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