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[コメント] JLG/自画像(1995/スイス=仏)

冬の映画。冬の風景。原題の副題は「12月の肖像」なのだ。寒々とした浜辺とカモメ。湖の岸に打ちつける波。雪の降る庭の俯瞰ぎみショット。雪の積もった山道などの冬の風景が何度もインサートされる。
ゑぎ

 罫線のあるノートに手書きのチャプタータイトル。少年時代の引き伸ばした写真、その写真へゆったりとドリーで寄る。マジックペンで三角を二つ重ねて書く。六芒星。ユダヤ、イスラエルの象徴。BGMはベートーベンの7番などクラシックが中心だが、一曲コルトレーンのサックスが流れたと思う。その他の音も溢れるが、何の鳥だろうか、鋭い鳴き声が何度も入り、その度にドキリとする。

 ゴダールが湖を散策するショットに既存の映画の音声(断片)がオフで流れる場面は印象深い。ロベルト、ボリス、ジャック、ニコラスと紹介される。ニコラスの部分では『大砂塵』のヘイドンとクロフォードの会話シーンが長く引用される。その後、湖の向こうを指して、フランス王国だ、と云う。

 また、やっぱり女性が皆綺麗だ。ゴダールの邸宅で掃除機をかける女性。書架にはたき掛けをする女性。このメイド2人はもしかして同一人物?最初のメイドは、仕事を辞める、という会話をするので、はたき掛けの人は別のメイドと私は受け取ったのだが。あと、編集助手になる、盲目の女性も美しい。

 玄関ブザーに、返事するゴダール。3回目に怒ったように声を荒げる。こゝ面白かった。訪問者は映画局の査察官。ゴダールの作品?をチェックして、アメリカ式に24コマだ、25コマで無く、と云う。欧州のテレビやDVDは、25コマらしい。

 あと、ゴダールが楽しそうにテニスをするショットがある。そしてラスト近く、彼のコートの上に座って、何語かで一人話ししている老女の場面もいい。こゝもジョークのような演出だ。この場面のゴダールの帽子の玉房(ポンポン)が可愛い。ラストは、丘陵地の春か。木立は枯れ木だが、地面には緑色の草。

(評価:★3)

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