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[コメント] モンテ・ウォルシュ(1970/米)

傑作。夜の街中で暴れ馬の芦毛を馴らすシーン!こゝだけでもこの映画を最大級に擁護したくなる。全体に大人しい静かな西部劇だが、豊かな時間の演出と過剰に見せる演出、或いは簡潔なアクションとのメリハリも効いた最上級の西部劇だ。
ゑぎ

 しかし、芦毛の調教シーンは無茶苦茶に過剰な破壊シーンだ。階段や建物の中に入っていき、ぶっ壊していくところが凄い。果ては給水塔のタンクを倒してしまう。普通なら街中大騒ぎになるところだが、誰も騒がないのがいいし、終わった後の静けさもいい。あゝこれが映画だ。 主軸の3人、リー・マーヴィンジャック・パランスジャンヌ・モローも皆それぞれ実によく描かれている。マーヴィンとモローのカラミのシーンは悉く豊かな時間の演出で、うっとりしてしまうし、ジャック・パランスも登場から終始最高にいい顔をしており、パランスを見ているだけでこの映画が終わらなければいいと思えてくる。1970年代ウェスタンの常連のイメージが強いマット・クラークビリー・グリーン・ブッシュが情けない悪役としてキチンと良い仕事をしているのも嬉しい。

 ウィリアム・A・フレイカーは『ヴィジョンズ・オブ・ライト』にも登場した名撮影者だが、監督としての才能も並々ならぬものがある。例えば、雨の中、レインコートを着た男が馬でやって来て、マット・クラークを探して酒場を訪れるシーンなんかでも、ロングショットの見せ方が実に心憎い。西部劇の呼吸を心得ている。

(評価:★4)

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