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[コメント] ブラボー砦の脱出(1953/米)

タイトルからの印象で、砦の騎兵隊がインディアンの襲撃から脱出する話かと思っていたのだが、実際は、北軍の砦から脱走する南軍捕虜のことをタイトルは云っていて、それを連れ戻す北軍大尉ウィリアム・ホールデンのお話なのだ。
ゑぎ

 ホールデンが、一人の南軍捕虜、ジョン・ラプトンを砦に連れ帰る場面から始まる。砦の捕虜宿営区画は、木の柵で囲われているだけなので、簡単に逃げることができるのだが、「逃げても砂漠。武器なしでは逃げられない」という設定だ。捕虜たちには、ジョン・フォーサイスウィリアム・デマレストウィリアム・キャンベルらがいる。皆見せ場の用意された良い役だ。捕虜たちは南軍歌の「ディキシー」を、口笛というか歯笛で吹く。

 ホールデンには、部下にリチャード・アンダーソンの中尉がいる。二人の関係も面白い。アンダーソンは、ホールデンにリスペクトしつつ、その厳しすぎる執務態度のことを批判する。また、彼は隊長の娘と結婚を控えている。隊長の娘はポリー・バーゲン。こゝに、バーゲンの友人役で、エリノア・パーカーが投入され、彼女がプロットを駆動し、多くの見せ場を作る。本作のパーカーは、とても良いです。過度にセクシーで、こんな女が辺境の砦にいる、という非現実的な情景だけで映画の画になる。裏庭で薔薇を育てているという一面も持つホールデンとは、当然ながら恋仲になる。二人単騎で乗馬デートするシーン、岩山の上でのラブシーンが綺麗な撮影だ。

 そして、終盤、峡谷を抜けた砂漠の窪地に逃げ込んだ後、インディアンの襲撃に堪える場面が、なかなか良く出来ている。地味な舞台設定だが、弓矢の攻撃が怖いのだ。一人また一人と殺されていく演出が、『荒野の七人』に繋がるものがある。本作も最良のスタージェス作品の一つだろう。

#ダンスパーティのシーンでは「Oh My Darling Clementine」が流れる。

(評価:★4)

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