コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゴールデン・ボーイ(1939/米)

トータルで考えても今見て一番驚かされるのはウィリアム・ホールデンの父親を演じる、まだ27歳のリー・J・コッブだ。このイタリア移民のくたびれた父親の造型。もう役者では彼が圧倒的。出てくるたびに目が釘付けになってしまった。
ゑぎ

 さすがにマムーリアン、本作も緩急自在によく見せる。これもまた、抜群のトップ・シーンを持つ映画だ。ビルの窓を映し、カメラがビルの中に入ると、アドルフ・マンジューが電話をしている。カメラが少し引くと、窓のところにバーバラ・スタンウィック。こゝから、ホールデンが加わり、ビルから出て、舗道を3人で歩きながら話をする場面が、トラック移動で捉え続けられるのだ。ホールデンの若いこと!登場した瞬間は彼だとは思えない!

 タイトルはボクサーとしてのホールデンを指しているのだが、彼は元は才能あるバイオリニスト、という設定だ。なので本作は、ボクシング映画であると同時に音楽映画でもある。また、マンジューとスタンウィックとホールデンの三角関係に加え、ホールデンとその父親のリー・J・コッブや、ギャングのボス、ジョセフ・カレイアと云った人物達の重層的な愛憎劇が繰り広げられるメロドラマでもある。いずれにおいても、もう間然するところのない的確な演出、時間の定着が実現しており、あゝこれぞアメリカ映画黄金期の粋だ、と思わせるのだ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。