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[コメント] カラビニエ(1963/仏)

あゝこれも面白い!走る自動車のフロントガラスから撮った道路のショット。数ショット繋ぐ。原っぱのような放棄地のような場所。画面奥にジープが蛇行しながら走って来るロングショット。掘立て小屋。アヒルや鶏。ミケランジェロ!女が叫ぶ。
ゑぎ

 この、ミケランジェロ!と叫んだ女性は後でクレオパトラという役名だと分かる。もう1人の女が、家の外のバスタブにお湯をと粉石鹸を入れ、服を脱ぎかけるが、軍服を着た男が見ているのに気づく。この女性は、後でヴィーナスと呼ばれる。

 ジープの男2人は、軍服姿でカービン銃を持っている。カラビニエ、と呼ばれる。女2人を守るべくカラビニエ2人と闘う男たちはユリシーズとミケランジェロ。しかしすぐに制圧される。スカートの中を見られる女2人。この所作は中盤でミケランジェロが反復する。王様からの手紙。チョウヘイ。小屋の中で、軍隊に行けば、どんな良いことがあるかを列挙する。とにかく掠奪の例ばかりだ。

 ユリシーズとミケランジェロは兄弟か。ミケランジェロとヴィーナスは、クレオパトラのことを、お母さんと呼ぶ場面があるが、そんな歳が離れているようには見えない。ヴィーナスが可愛い。アナ・デ・アルマスのよう。

 中盤以降、戦場の描写が中心になるが、銃後−女性2人の様子が短く挿入される。ポストから葉書を取り出すヴィーナスのフルショットが何度も繰り返される。やはりヴィーナスが可愛い。また、戦場、爆撃機、軍艦などの記録映像も度々挿入されるが、これらもよく整理されていると感じる。良い構図のショットばかりなのだ。例えば死体のショットが沢山挿入されるが、何か統一感がある。

 ミケランジェロが映画館で「上流婦人の入浴」という映画を見るシーン。彼がスクリーンを触り始めるのも面白いが、それ以上に、スクリーンが破れたことで、上流婦人の家がとてもみすぼらしい家に変化するのが面白い。あと、自動車の販売店(マセラッティ)の販売員に王様の手紙を見せるが、現金でないとダメと云われる。この男性はバーベット・シュローダーらしい。

 後半、冒頭の原っぱの家に帰還した2人。トランクから、写真と絵葉書の束を出し、一枚ずつ見せるのを延々と続ける。中にエヴァ・ガードナーブリジット・バルドー、『黄金の馬車』、ローラ・モンテス(『歴史は女で作られる』)なんかの写真もある。この後の終戦の合図の打ち上げ花火は、不思議な映像だ。特殊効果だろうか?フィルムを直接傷つけた?しかし、こゝから始まる雪の市街地での一連のシーンは見応えがある。可愛いヴィーナスへの仕打ちが厳しくて悲痛。でも、このショットの簡潔さがいい。

(評価:★4)

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