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[コメント] ウディ・アレンの 影と霧(1992/米)

闇と光、霧と光の表現主義的画面造型は、まず冒頭の、霧の画面の奥に階段が延びているカットで瞠目させられる。この装置は中盤でも、アレンが階段を降りて来るかたちで再登場する。しかし、こういった画面が、ずっと続くので、だんだんと飽きて来る。
ゑぎ

 アレンもミア・ファローも、はっきり顔が映らないカットが多い。ケイト・ネリガンなんか、2階の窓の向こうのロングショットのみなので誰なのか全く分からない扱いだ。あるいは、マドンナは屋内でバストショットもあるので明瞭ではあるが、ほんの少ししか登場しない。ジョディ・フォスターもこの使いようはとても贅沢。逆に云うと、顔見せとして有難いが、有効に使われているとは思えない。こんな役なら、若手にチャンスをあげた方が、良いのではないでしょうか。

 また、プロットの進行も引っ掛かりが多い。例えば、ファローが娼館から出て外を歩いている唐突さはどうしたことか。泊まると云っていたのに。さらに、いきなり警察署に連行されて来る。省略はいいけれど、恣意的過ぎると思えて来る。そして、マルコヴィッチも終盤消えるし、アレンが自警団にリンチに合いかけるのも...殺人鬼の行方も...と来て、あゝ、確信的に好き放題やっているだけか、と気が付くのだが、面白ければ良いが、面白くもないので、結果、まとめかねただけのように思えてしまうのだ。

#かなりのオールスター映画ですが、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のエスター・バリントが出ている(赤ん坊を抱いた女の役)のは特記事項だろう。

(評価:★3)

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