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[コメント] 糧なき土地(1933/スペイン)

ブラームスの4番がずっと劇伴。人物へのインタビューや発言は記録されておらず、ブニュエルのナレーションによる解説が入る。冒頭は髑髏を壁に飾っている町。
ゑぎ

 新婚の男たちが、馬に乗り駈歩(かけあし)で鶏頭を削ぎ落とす祭りの風景が描かれる。ブニュエルは鶏好き。しかし、こゝは目的地への途中地点だ。目的地は、ラスウルデスという山岳地帯の寒村。本作は、この地での2か月間の滞在記録だ。

 豊かな自然。しかし、村人たちは極貧の生活を送っている。パンを小川に浸して食べる子供たち。甲状腺腫が風土病。路上に3日間いたという女の子の喉を映す。この子は2日後に死んだと云う。この地で山羊は断崖に適応しているというエピソードが出てくるが、時に山を転がり落ちる山羊もいるということで、断崖を落下する山羊を俯瞰でとらえたショットが挿入される(撮影のために山羊を突き落としたんじゃないか)。あるいは、養蜂の挿話では、ロバが蜂まみれになるショットが繋がれる。この辺りは、ブニュエルらしいシュールさだと思う。ナレーションのみだが、男性3人が蜂に襲われて死んだこともあると云う。急な斜面で早い横移動によって人々をとらえたショットや、幼児の遺体のショット、遺体を墓へ運ぶ前の、母親のウェストショット、その視線の強さが忘れ難い。

(評価:★3)

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