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[コメント] 殺人容疑者(1952/日)

渋谷桜丘の高台での殺人事件で始まる。被害者が持っていたマッチは有楽町の酒場のもの。続いて、酒場の女将が居所で死体として発見される。男と関係した形跡がある。こゝから、科捜研の記録映画のようになる。
ゑぎ

 精液や煙草の吸い口からの血液型鑑定。残された毛髪からポマードの特定や年齢の推定、糸くずからホームスパン生地の上着の特定等。なんか『情無用の街』(1948)の前半の文化映画っぽい部分を思い起こす。見終わって調べてみると、『情無用の街』の本邦公開は1952年1月で、本作の公開は8月なのだ。本作は『裸の町』(1948)の影響を受けている、という紹介のされ方をよくするが、確かに、有楽町でのゲリラ撮影部分なんかは、間違いのない形容だとは思うけれど、『情無用の街』の影響も大きいと思われる。

 しかし何と云っても、本作の瞠目する場面は、ラストの土屋嘉男丹波哲郎との、下水道での対決(対峙)シーンだろう。こゝは、下水がはねる音や排水管から滴る音など、音の演出の見せ場にもなっており、鈴木英夫の映画であれば、どうしても『彼奴(きゃつ)を逃すな』の音の氾濫の演出を思い出す。共同監督の船橋比呂志が任された部分かもしれませんが。

#配役等を備忘で記す。

・主人公を一人に特定するのは難しいが、登場時点では頼りない感じの中沢刑事が一番出番の多い役か。石島房太郎がやっている。その他、刑事側は課長が恩田清二郎。若い刑事で土屋嘉男小林昭二が目立つ。

・丹波が経営する商事会社は銀座にある。第二の殺人事件で盗まれた指輪が、質屋から出てきたことで、質入れした踊子にたどり着く。この踊り子が若き野村昭子。また、このクラブの場面の導入部で、ジプシー・ローズのセクシーダンスが見られる。

・ゲリラ撮影場面の逃げる容疑者は纓片達雄という人。丹波が警察の尾行をまくのは横浜。映画中のラジオニュースで告げられる。都内から逃げた丹波の仲間2人は、青山から目黒、多摩川方面へ車で逃げる。多摩川べりで車が横転する。

(評価:★3)

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