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[コメント] 男性の好きなスポーツ(1964/米)

本作も随分と久方ぶりに再見。やっぱり、ロック・ハドソンの顔演技には失望する。勿論、それも含めてホークスの責任(ディレクションとディシジョンの結果)だと思うが、ただし、それ以外の部分は、もうほとんど、完璧じゃないか。
ゑぎ

 勿論、完璧という言葉遣いは「私にとっては」という前置き付きで、しかも例によって、いくぶん大仰な言葉遣いではある。人によっては、多くの瑕疵を指摘するかも知れないが、それは、私にとっては、どうでもよい事柄か、却って美点とすべき事柄だろうと予想する。

 まず、本作も多くのホークス映画の特徴である、複数人の若手女優を見事にコントロールした作品だ。ヒロインは明確にポーラ・プレンティスだが、彼女のキャラクター造型もまた最高のホークス的ヒロインだろう。その思い切りの良さ。例えば、ジョン・マッギーヴァーの社長室で、灰皿を叩いて水槽へ飛ばしたり、ハドソンのギブスを切るシーンの、ノミとハンマー、電ノコの扱い、あるいは鍋のフタを叩く際の所作の演出などなど。プレンティスと一緒に登場する友人のマリア・ペルシーも、適度に筋に絡み、ドレスの背中が破れてしまって、ハドソンが密着して行動せざるを得なくなる、『赤ちゃん教育』を思い出させるコメディ場面があるし、遅れて登場するハドソンの婚約者役、シャーリーン・ホルトにしても、出番は少ないが、下着姿で見事な肢体を披露するという、3女優の中では一番官能的なショットが与えられているのだ。

 そしてこの映画が完璧だと私が感じる一番のポイントは、そのカッティングのきめ細かさなのだが、それは単にきめ細かいだけでなく(また、カッティングと云う言葉にとどまらないのだが)、随所で予測不能の切り返しや画角が挿入される、というところなのだ。例えば、前半で、プレンティスとペルシーとハドソンの3人が、回転するカウンターに座ってマティーニを飲むシーンがあるのだが、このシーンのカット割りで、カウンター内とカウンター外とのショットの切り返しは、私には予測できない。あるいは、後半、夜中に部屋へ押しかけて来たプレンティスとハドソンの会話シーン(キスをしかけてお預けになるシーン)における、ウェストショットの切り返しや、ドリー前進移動なんかも得も云われぬものだ(だから、余計にハドソンの顔演技にもう少し度量が示せていれば、と思われ てしまう)。そして、キスが成就した際に挿入される、プレンティスの脳内映像のぶっ飛びよう。エンディングのシチュエーションも常軌を逸したものだし、やっぱりホークスは期待を(それも最大限に高めた期待を)裏切らないのだ。

#少しだけ、その他配役等を記述

 ロスコー・カーンズの遺作なのか。フィッシング大会でハドソンと争う釣具店の顧客役。カーンズの友人で前年優勝者がフォレスト・ルイス。この二人の雰囲気がいい。「孔子曰く」が口癖の先住民ノーマン・アルデン。ディーン・マーティンみたい。

(評価:★5)

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