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[コメント] 少年(1969/日)

高知、福山、松江、城崎、天橋立、福井、敦賀、秋田、稚内、札幌、大阪と舞台を繋ぐ、一種のロードムービーだ。
ゑぎ

 「一種のロードムービー」なんて書き方をしたのは、移動シーンがほとんどなく(一部、船と汽車はある)、自動車は移動手段としては使われず、別の目的としてのみ機能する。しかし、各地の風景はよく撮れており、見ごたえがあるし、そういう意味で興味が持続するので、大島にしては、普通に面白い。

 色彩として、赤色が目立つ。前半の小山明子のカーディガン。中盤になっても彼女は赤い靴下や赤い上着を身に着けている。そして終盤に登場する(小山とは関係ないが)、少女の赤い長靴と日の丸など。うがって云えば、赤色は胎児・嬰児のシンボルか。いや、そのものずばり、日の丸に収斂するイメージか。

 という訳で、終盤、札幌へ舞台が移ってからが、鬼気迫る画面の連続で圧巻だ。特に自動車事故の後のシーケンス、高台のロケーションと奥行きの見せ方。坂の側の旅館では、渡辺文雄が上半身裸で、銃弾の貫通した跡を見せ恫喝する。奥の部屋には、大きな日の丸となぜか葬式の祭壇がある、といった理屈のない、だが震撼とさせられる美術装置。そして雪だるまと赤い長靴。雪だるまを叩きつぶす高速度撮影。これらの連打には圧倒される。

#主人公の少年が弟に話す際(宇宙人の話など)、オッサン口調で逆に可愛い。

(評価:★4)

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