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[コメント] イップ・マン 継承(2015/中国=香港)

1959年香港。街の俯瞰からクレーンでの移動カット。少しメロウに褪色したかのような全体の色調が綺麗だ。移動撮影とスローモーション活用は、ハリウッド映画と比べても全然遜色ない流麗さ。日本映画でこれだけの画面造型って滅多にないよなぁと感心する。
ゑぎ

 開巻すぐに、李小龍が訪ねて来る場面になるが、煙草と水を小道具にしたスローモーションが見事で唸ってしまうのだ。人物が吹っ飛ぶカットは、ほゞ高速度撮影で統一されている。

 アクション場面は、造船所でのモブシーン、タイ人ムエタイ戦士との、エレベーターの中から、ビルの階段を降りながらの闘い、そして、満を持して、マイク・タイソンとの対決となる。こゝの揺れるサンドバッグのアクション繋ぎや、女の子の風船を使ったカッティングも面白い。しかし、タイソンとの決闘の結末は、仕方がない事情は推察されるが、なんとも寂しいのだ。

 また、詠春拳の正統を決めるための試合会場で、マックス・チャン達がイップ・マンの到着を待つ場面と、イップ・マンと妻とのダンスシーンを、クロスカッティングで繋ぐ部分は、ちょっとくどいかな。その代わり、クライマックスのマックス・チャンとの対決シーンは留飲を下げる出来になっている。

 あと、本作も静謐なシーンとの対比は上手く効いており、人物が屋内で静かに座っている場面なんかの風情がいい。例えば、部屋の壁がターコイズブルーであったり、ピンクに近い土色に所々色はげがあったり、といった美術もいいのだ。そして矢張り、木人椿での練習風景が、見ていて快い。

(評価:★3)

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